現代のアメリカ企業文明 2
GMのトップマネジメントには、別の深刻な事態が起ころうとしていました。
それはスローンの引退、デュポン家の撤退といった権力の空白期間に乗じて、野心的なカーティス社長が、定年制のない会長職に滑りこむ危険が迫っていたからです。
カーティスは1955年に売り上げでも空前の記録、利益でも10億ドル(投資利益率23%)という業績を誇る実力者です。
しかもウィルソン前社長から譲られた、筆頭執行幹部(CEO)という最高の権力を掌握していました。
もともとカーティスはミッド・ウェスト出身の自動車屋で、「エンジン・チャーリー」といわれた前社長チャールズ・ウィルソンの右腕でした。
彼は創業者のデュラントと同じワンマン・タイプで、合理主義者のスローンとはウマが合わなかったばかりでなく、ニューヨークの財務マンとは反りが合わなかったのです。