伝説の美女
沖縄には伝説の美女、志慶真乙樽という人がいました。
相当な美女ですから、彼女は王に召し上げられてその側室となりました。
王にはそれまで子どもができなかったのですが、60歳の高齢でやっと乙樽に子どもがめぐまれました。
昔は60になると「六十森」という姥捨山に捨てるならわしだったといいますから、それはたいへんな「しもなり」だったわけです。
しかしその王は、子の出産を待たずに死んでしまいました。
乙樽は悲嘆のなかで、城の守護神であるイビガナシに朝夕安産と男の跡継ぎが生まれることを祈りました。
その祈願の熱心さは、はた目にも胸が熱くなるほどだったといわれています。
このときのことを詠んだ詩が、沖縄ツアーでも人気の観光史跡、今帰仁城跡に残されています。
それだから、男の子が生まれたよろこびで、彼女はその若按司(幼い王子)を文字どおり「ぬちゃいはちゃい」して大事にした、というのが歌の趣旨です。
しかし、ただそれだけのことでは、読人知らずのこの歌がながく伝承されるには不十分で、なお乙樽には不幸な出来事が起ったのでした。